猫 下痢

「猫の下痢」の分類・対処法とキャットフードやお水の影響について

ソマリ
猫でもよく「ウンチがゆるくなる」「突然下痢をした」ということで、動物病院を受診するケースがあります。

 

そもそも下痢というのは、腸における消化機能が異常を起こし、本来なら消化吸収されるはずのお水や食べ物が、未吸収のまま便に出てきてしまう状態です。
そしてその下痢の原因には、食べ物の影響によるもの、腸内細菌の影響によるもの、胃や腸自体の影響によるものがあります。

 

例えば食べ物では、消化の悪い原材料や、腐敗した食べ物などによるものがあります。腸内細菌は、間接的には食べ物や消化器官の影響も受けるのですが、抗生物質などで腸内細菌が乱れることによって下痢を起こします。

 

また、胃や腸に炎症や腫瘍などがあると、消化機能自体が低下し、下痢を引き起こすようになります。

 

これらは、一見同じ「下痢」という症状のため、見た目だけで原因を判断することは難しく、動物病院での診察及び検査が必要です。

 

もし、下痢が長引くようであれば、きちんと原因を追求し、それに合わせた治療を行うことが必要です。

 

「下痢止め薬」といった対症療法を続けていると、病気の進行を見逃してしまい、手遅れになることもあるため、注意が必要です。

 

では、同じ「下痢」でも自宅で管理できる場合と、動物病院での治療が必要な場合との違いはどのようなケースがあるのでしょうか?

 

 

「猫の下痢」の分類

一口に「下痢」と言っても、その症状からは大きく4つに分けることができます。

 

また、形はあるけど、掴むと形が崩れてしまう程度のいわゆる「軟便」も獣医学的には「下痢」に分類されますので、軟便が続く場合も注意が必要です。

 

下痢は、まずは急性の下痢なのか、慢性の下痢なのかを見ていきます。

 

例えば急性の下痢では、突然の下痢が始まります。

 

その時点でしっかりと治療を行うことができれば良いのですが、様子を見ていて、そこから症状をこじらせてしまい、1週間近く下痢が治らずに慢性化してしまうこともあります。

 

その一方で慢性の下痢は、一旦治ったと思ったらまた下痢をしてしまう、あるいは元気や食欲は問題ないけど、軟便や下痢がダラダラと続いてしまう、そんな状態が見られます。

 

大まかには2?3週間以上、断続的に下痢が続く場合は、慢性の下痢と判断し、それ以外はまず急性の下痢として対応しています。

 

また、下痢というのは、「大腸」での下痢と「小腸」での下痢にも分類されます。

 

大腸性の下痢の特徴は、いわゆる水下痢で、回数も多いのが特徴です。一方、小腸性の下痢は、回数はそんなに多くないのですが、一回に出る下痢の量が多いのが特徴です。

 

様子を見ても良い猫の下痢とは?

このように、猫の下痢は「急性か慢性か」「大腸性か小腸性か」に分けて考えます。

 

このうち、絶食や消化の良い食事で様子を見たり、いわゆる「下痢止め」を使って対症療法で治療できるものは「急性大腸性下痢」となります。食べ慣れないものを食べてしまったなどの、いわゆる一時的な下痢のほとんどが急性大腸性下痢と考えられています。

 

しかし、下痢がひどいと脱水を起こしたり、より状態が悪化することがありますので、半日以上下痢が続くときや、少しでも元気や食欲が低下するような場合は速やかに動物病院を受診しましょう。

 

また、急性大腸性下痢でも、細菌性腸炎や大腸腫瘍など、治療が厄介な病気が隠れていることがあるため注意が必要です。

 

このような病気でも見た目の下痢の症状は同じですので、便の遺伝子検査や大腸の内視鏡検査などが必要になることもあります。

 

急性大腸性下痢以外は必ず猫の診断が必要です

急性大腸性下痢には一時的な下痢も含まれますので、対症療法などで治療することもありますが、それ以外の急性小腸性下痢、慢性大腸性下痢、慢性小腸性下痢では、基本的には対症療法では改善しない病気であることが多いため、様子を見るよりも積極的に検査・診断を受けることが重要です。

 

中には糞便検査など、あまり猫に負担のかからない検査でわかる寄生虫性の下痢もありますが、ほとんどは聴診や触診といった一般身体検査、血液検査、レントゲン検査、腹部超音波検査に加えて内視鏡検査やあるいは試験開腹といった猫に大きな負担のかかる検査が必要になります。

 

しかし、負担のかかる検査を避けて、病気を見逃し続けると、手遅れになることもありますので注意が必要です。

 

こういった病気には、細菌性腸炎、消化管腫瘍、炎症性腸疾患、タンパク漏出性腸症などの腸管自体の病気もあれば、肝臓や腎臓あるいは膵臓など、その他の臓器から波及して下痢を起こす病気もあります。

 

それぞれの病気で、治療は全く異なりますから、少しでも猫の状態を改善するためには、動物病院で正しい診断と治療を受けるようにしてください。

 

細菌性腸炎では原因菌に応じた抗生物質を長い場合は数カ月間投与することもあります。

 

また消化管腫瘍は外科的に切除することもあれば、リンパ腫のように手術ではなく、化学療法で管理するものもあります。

 

さらには炎症性腸疾患やタンパク漏出性腸症などでは悪性のがんと同じように完治は難しく、ステロイドや免疫抑制剤などを長期間、場合によっては一生飲み続けることが必要になることもあります。

 

いずれの病気にしても、こう言った知慮を行いながら、食事とお水を管理していくことも非常に重要な治療となります。

 

 

キャットフードの特徴と「猫の下痢」の関係

前述のように、腸内細菌や消化器官による猫の下痢は、ほとんどが病気に関連したものなのですが、食べ物による下痢は、何の病気も持たない健康な猫にも影響を与えますので、しっかりと管理してあげる必要があります。

 

そして、現在の猫のほとんどがいわゆる「キャットフード」を主食にしていますが、実はキャットフードも猫の消化機能には少なからず悪影響を与えることがわかっています。

 

キャットフードには「ドライフード」と缶詰やレトルトパウチのような「ウェットフード」があります。

 

そして特にドライフードでは、原材料を見てみるとほとんどのドライフードにはトウモロコシや小麦、あるいは米といった「植物性原材料」が含まれています。

 

また、ドライフードは様々な原材料を混ぜ込み、さらに熱をかけてあのような形に形成し、水分を抜いていきます。

 

そのような加工を行うと、どんなに良い材料を使っても消化率は悪くなってしまいます。

 

つまり、原材料の食べ物をそのまま食べるよりも、ドライフードを食べる方が消化には良くないのです。

 

これは缶詰やレトルトパウチのようなウェットフードでも同じで、ドライフードほど消化率は悪くはありませんが、それでもやはり本来の食べ物に比べると消化が悪い食べ物だと言えます。

 

キャットフードには、栄養バランスに優れているという素晴らしい特徴もありますが、このように消化率が悪いというデメリットもあります。

 

猫の中には、なかなか治らない慢性の軟便や下痢が、実はキャットフードの消化率の悪さが原因だったりもしますので、注意が必要です。

 

キャットフードの消化とお水

では、消化に問題のあるキャットフードの消化を少しでも良くするにはどうすれば良いのでしょうか?

 

最も手軽にできる方法は、「お水をしっかり飲むようにする」ことです。

 

キャットフードの中でも特にドライフードは、その保存性を高めるためギリギリまで水分をなくしています。その水分のなさがさらに消化を悪くしていますので、ドライフードを食べるときはなるべく水分も一緒に摂るようにしましょう。

 

とはいえ、猫に「水を飲め」と言ってもなかなか飲んでくれません。

 

ですので、ドライフードに水を加えて食べさせることも一つですし、また、私の経験上、ウォーターサーバーのようなミネラルウォーターなら、水道水と比べて飲んでくれる猫が多いので、そういったお水を使ってあげるのも良い方法です。

 

ちなみに、猫に飲ませるミネラルウォーターは、尿路結石症のリスクを避ける意味でも「天然水の軟水」を選んであげてください。

 

>>猫におすすめのウォーターサーバーはこちらを参照下さい

 

-記事作成者:フォロン動物病院 獣医師-

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