猫 健康診断

猫の健康診断で特に気をつけたい健診項目

エキゾチックショートヘア
猫も人間と同様、健康診断によって様々な病気を早期発見することができ、延命効果はもちろん、苦しい思いをさせないように生活の質を保つためにも重要な検査となっています。

 

今回は、様々な検査項目の中でも、特に猫で気をつけていただきたい項目をご紹介します。

 

尿検査

尿検査は、人間では手軽に実施できる検査のため、どんな健康診断でもほぼ必ず実施される検査です。

 

しかし、犬や猫の場合、尿を採ることが難しいことも多く、自然排尿での採尿が難しい場合には、膀胱まで管(カテーテル)を入れたり、お腹から膀胱へ直接針を刺して尿を吸引する形で採尿するなど、動物に負担を強いるケースも多々あります。

 

そのため、自然排尿での採尿が難しい場合には、健康診断においては動物へのストレスを考えて、尿検査が省かれてしまうケースもあります。

 

しかし、特に猫に関しては、尿検査が重要となる病気が多いため、必ず実施したいところです。

 

その尿検査が重要となる病気の一つが「慢性腎疾患」です。

 

以前は慢性腎不全とも呼ばれていた病気で、一度発症すると完治は不可能、残った腎機能をいかに長持ちさせるかが治療の中心になるため、早期発見が非常に重要な病気です。

 

では、なぜその慢性腎疾患において尿検査が重要なのでしょうか。腎臓の障害をチェックする方法としては、血液検査が一般的ですが、実は慢性腎疾患において、血液検査は病気がある程度進行しないと異常値を示さないことがわかっています。

 

具体的には、腎臓の機能の「約75%が失われて」初めて、血液検査で異常値を示すのです。つまり、血液検査で異常を示した場合は、すでに病気がかなり進行した状態なのです。

 

しかも、それだけ血液検査での発見が遅れるにもかかわらず、見た目の症状は「お水をたくさん飲んで、おしっこの量が増える」程度で、元気や食欲はあまり変わらないケースも多く、飼い主様が気づかないことがほとんどです。

 

ですので、見た目や血液検査だけを見ていては、病気がかなり進行してしまうのですが、それよりももっと早い段階で腎臓の機能低下を見つけることができる検査が尿検査なのです。

 

尿検査の中でも「尿比重」や「微量タンパク」あるいは「微量アルブミン」といった項目を確認していくことで、血液検査よりも早い段階で、腎臓の機能低下、すなわち慢性腎疾患の早期発見につなげることができます。

 

また、慢性腎疾患の他にも、猫に多い尿石症のチェックにも尿検査は非常に有効です。

 

猫の健康診断を受けるときには、必ず尿検査も実施するようにしましょう。

 

アルカリフォスファターゼ

血液検査項目の中にアルカリフォスファターゼ(ALPやALKPと表記されます)という項目があります。

 

主に肝臓や胆管系の障害をチェックする項目なのですが、犬の場合は、いろんな要素から影響を受けることが多く、ALP単独で異常を示していても経過観察となることも多い項目です。

 

しかし猫の場合は、このALPが異常値を示すと、ほぼ間違いなく何らかの治療対象が必要となる病気を持っていますので、犬のように経過観察ではなく、次のステップの精密検査や治療が必要になります。

 

ALPが異常値となる病気としては、肝リピドーシス(猫の脂肪肝)や胆管肝炎などがあり、手遅れになると命に関わる病気ですので、見た目には全然元気でも注意が必要です。

 

また、高齢の猫でみられることのある甲状腺機能亢進症でもALPが異常値を示します。

 

特に犬も一緒に暮している飼い主様に多いのですが、猫でALPが異常値を示していても「うちの犬も異常だけど、経過観察だから同じでいいよね」と考えてしまうケースが見受けられます。

 

しかし残念ながら、犬と猫では体に様々な違いがありますので、猫の場合、このALPが異常値を示した場合は、積極的に診断・治療を受けられることをお勧めします。

 

 

定期的な健康診断を受けましょう

健康診断の各項目、特に自然排尿で採尿した尿検査は、決して精度の高い検査ではなく、中には異常値が本当の体の異常を示しているのではなく、何らかの外部要因(ゴミが混ざってしまったなど)の影響による可能性もあります。

 

そのため、場合によっては一度の検査で異常を決め付けるのではなく、何度か再検査を行うことでより精度を高めていくことも重要です。

 

ですので検査はなるべく定期的に、複数回受けるようにしましょう。

 

また、「検査で異常値が出た=病気が確定」ではありません。

 

病気の確定は、あくまでそれら健康診断の数値を見て、獣医師の判断で行うものですので、検査の異常値に一喜一憂せず、必ず獣医師とコミュニケーションをとりながら判断するようにしてください。

 

 

-記事作成者:フォロン動物病院 獣医師-

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